ここの売りは、ハルア(Halua)と呼ばれる砂糖漬けである。トウガラシ、ニガウリ、パパイヤの葉・茎・花・実、キュウリ、ニンジン、オレンジ、トマト、パイナップル、スイカの皮、などなど、何でも砂糖漬けにして売っているのである。そして、砂糖と水以外にいっさい添加物を使っていない。
おばさんによると、素材の味の違いが出ているというのだが、私には、どの素材を食べても、同じように強烈な甘さが向かってくるようにしか感じられなかった。地元のお祝いなどでは、トウガラシの砂糖漬けを必ず使うので、トウガラシは外せないのだそうだ。甘いトウガラシ、というのはなかなか面白い。
個人的には、この砂糖漬けよりも、ダンガイ(Kue Dangai)という焼き菓子が気に入った。餅米粉、ココナッツ、砂糖に塩を少々入れた素朴な焼き菓子で、実はメダンの伝統焼き菓子の一つなのだそうである。
しかし、最近ではピカ・アンボン(Pika Ambon)というちょっと洋風化された焼き菓子がメダン土産として有名になり、ダンガイはほとんど忘れ去られようとしている。それでも、伝統焼き菓子を復興させたいと願う政府高官などから、ときどき注文が入るそうだ。
モチモチッとした食感、ほんのりとした控えめの甘さが飽きをこさせない。でもインドネシアの人には物足りないだろうなと思ったら、これはオリジナルで、チョコレート味などいろいろな甘さ強調のバリエーションがあるのだそうである。やっぱり。
インドネシア全国各地に、隠れた伝統菓子の銘品が埋もれているのだろう。それを発掘し、再評価することは、それを生産するここの地域の価値を再評価することにもつながるはずである。カロリー・自己コントロール中の身ではあるが、やはり食べ歩きはやめられまい。
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