マカッサルの若者たちが設立したイニンナワ・コミュニティが10周年を迎える。イニンナワ・コミュニティは、様々な小さな若者グループやNGOの極めて緩やかな連合体で、明示的な代表者は存在せず、10~20人の中心メンバーがうまく役割分担しながら、この緩やかな連合体を動かしてきた。
コミュニティには、パサールの小商人を支援するNGO、有機農業を学んで農村と都市を結ぼうとしているNGO、外国語で出版された南スラウェシに関する文献のインドネシア語翻訳出版を行うNGO、高校生を対象に農村などでホームステイを伴った研修を行うNGO、マカッサルでは民間図書館としては草分けのNGO、意味のある写真撮影を目指すアマチュア・カメラマンのNGO、などが参加している。
インドネシアで組織を作るときには、必ずトップがだれで、副がだれで、会計役がだれで、と、まず形から入るのが常識だが、イニンナワ・コミュニティにはそれがない。何となくまとまって、つながっている。そして、傘下(にあるとされる)の団体同士が、これも自然に何となく互いに協力し、関係を持って活動している。一人で複数の団体に所属しているものも数多い。そして、このコミュニティに関わるものは、来るものを拒まず、去るものを追わず、という形で、活動や考え方に共鳴してくれれば、誰でもコミュニティの仲間として受け入れてもらえる。悪い言葉でいえばいい加減、でもいい言葉でいえば柔軟極まりない「集団」である。
こんな連合体が10年もマカッサルで存続していること自体が不思議に思える。彼らとはもう5年以上の付き合いになるが、何とも言えず気持ちがよい。決して国際援助機関の資金供与を当てにしないため、資金不足は常態化しているが、援助業界で流布される「グッドガバナンス」とか「ファシリテーション」とかいったヨコ文字言葉などには全く見向きもせず、自分たちの活動を自分たちのペースでそこそこに続けてきたのである。
こうしたイニンナワ・コミュニティの設立10周年行事が、2月10~13日に、彼らの活動場所である我が家で行われる。内容は盛りだくさんで、本の出版記念講演会+討論、エッセイ・コンテスト、演芸会、本の廉価即売、ローカルマーケットに関する討論会、写真展、読書愛好会の集い、文学・音楽の集い、など様々が企画されている。
仮に私がマカッサルからいなくなったとしても、彼らの活動が地道にさらに展開していけるように、と願いつつ、できる限り、私も彼らと一緒に10周年記念行事を楽しみたいと思っている。私の大事な大事な仲間たちである。
イニンナワ・コミュニティの活動の一部が2月6日付のKOMPAS紙に紹介された。以下のサイトを参照されたい(インドネシア語)。
ININNAWA: Inspirasi dari Makassar
1 件のコメント:
10周年おめでとうございます。
会長も組織、規則もないなんて、まるでラグラグ会みたいですね。ラグラグ会はもう30年以上も続いている。
ますますの発展をお祈りします。
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