この店を知ってからもう25年になる。最初の頃、Nasi Capcaiにナマコが入っているので有名だった。1990年代後半の通貨危機の頃から、価格の高騰したナマコをcapcaiに入れることを断念し、普通のcapcaiになってしまった。
今回、店を訪れると、定番のワンタン麺(Mi Ayam Pangsit)を頼んだ。が、ワンタンがないということで、やむを得ず、肉団子麺(Mi Ayam Bakso)にした。フロアの半分は明かりが消されており、ますます寂れた感じがする。
寂しい気分で麺をすすっていると、次から次へと家族連れが店に入ってきた。でも、「それなりに繁盛しているんだ!」という雰囲気にはならない。何となく、一般の客のようではないからだ。よく見ていると、私も顔なじみの番台にいるおじいさんと次々に握手をしている。
どうやら、家族連れはおじいさんの娘や孫たちのようである。聞くと、その日はおじいさんの70歳の誕生日だったのだ。孫たちが口々に自分の食べたい料理の名前を叫んでいる。
店としての盛りを過ぎ、店を閉じる日を待っているような店の、つかの間の温かな賑わいのように見えた。でも、せめて、おじいさんの生きている間だけでも、したたかに店が残っていてほしいと思った。
ジャカルタのあちこちで、かつてあんなに賑わっていた店が、今では閑古鳥が鳴いている、という光景を見ている。寂しいと思うと同時に、私がまだ数十年前の風景を自分のジャカルタのイメージとして引きずっているだけなのだということも思い知った。
0 件のコメント:
コメントを投稿