メニューを見ながら、奇抜そうなものをいくつか注文する。インドネシア化した日本食レストランでは、たとえば寿司は明らかに欧米で受容されたカリフォルニア・ロール系の面白巻き寿司が主流である。そして、それ系のどの寿司にも、トマトケチャップとマヨネーズを混ぜた甘めのオーロラソースがかけられている。
今回のヒットは、寿司の唐揚げである。巻き寿司にころもをつけて、天ぷらのように揚げたものである。これにも、先のオーロラソースがかけられている。
おそらく、このころものサクサク感がいいのだろう。インドネシア人がナシ・ゴレンとエビせんべい(クルプック・ウダン)を一緒に食べるのも、口の中でのアクセントを得たいためである。寿司としてのフレッシュさには欠けるが、食べられないものではなかった。
最後に、醤油ラーメンを注文した。浅めの丼に、ビーフ味かチキン味の醤油ラーメン。なるとの代わりに、周りを赤く縁取った大根の酢漬けが配置されている。もちろん、これを日本の醤油ラーメンと思って食べたらがっかりだが、けっしてまずくはない。
このレストランのコックたちは、何年か前に閉店したわりと有名で日本人もよく行く日本食レストランで働いていた人たちで、どうも自分たちだけで店を立ち上げた様子である。しかし、日本人のマネージャーが管理しているわけではないので、味やメニューは相当変わっている。
それでも、これが「日本」がインドネシア人自身によってインドネシア社会に受容されていく一種のプロセスだと考えれば、なかなか感慨深いものがある。外国援助の世界の技術移転なども、おそらくこうしたプロセスを経て、原産のものとは似ても似つかないかもしれないが、受容される場所でそれなりに主体的に受容されていくのだろう。
寿司の唐揚げは、そんなプロセスを体現した味を醸し出していた。問題は、我々がそうした「日本」の受容を温かく許容できるかどうか、なのだと感じた。
1 件のコメント:
寿司Goreng,MakassarのHotel Horisonでも朝食バイキングでだされていましたよー。
お寿司だー!!と喜んで取り、食べた瞬間、びびりました!
ここは、やっぱりインドネシア・・・と実感した瞬間でした。
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