2009年2月14日土曜日

今週ちょっと嬉しかったこと

今週初め、仕事でJICAのあるプロジェクトの成果発表セミナーに出席した。

このプロジェクトは、南スラウェシ州内の3県を対象に、各県政府が選んだ村に対して少額のブロックグラントを提供し、それと村人たちの自前資金も動員して、村人たち自身が作業して、トイレを整備したり、乳幼児向けの保健施設を整備したり、歯磨きキャンペーンをしたり、と、ちょっとした活動を行っている。村人たち自身が作業するので、活動に対するオーナーシップがこちらも驚くほど高まっている。

このセミナーで、ちょっと嬉しいことがあった。ある県の発表で、「JICAプロジェクトが終わった後、自分たちでこの事業をどう実施していくか、すでに計画を練っている」というのである。このプロジェクトの対象であるその県のある若い村長は、JICAなしでもこの活動を引き続き実施するために、すでにいくつかの行動に着手している、と大演説した。これで雰囲気が変わったのか、「JICAの後は引き続きほかの団体に入ってもらいたい」と先日発言していた別の県の発表でも、「JICAプロジェクト終了後には、県政府が責任を持って事業を引き続き実施していく」と明言した。

翌日、3県政府の代表が州の保健局に参集して、JICAプロジェクト終了後に、具体的にどのような予算措置をとって事業を継続していくか、各県のアイディアをもとにした議論が行われた。

このJICAプロジェクト自体は、もちろん、終了後にインドネシア側が自前で実施していけるようになることを念頭に置きながら活動を進めている。このプロジェクトが、村人のオーナーシップを引き出してしまった以上、インドネシア政府側も、JICAがいなくなても、もはや中断はできないという認識のようだ。

今、少なくともスラウェシでのJICAの協力は、こうした「終了時にインドネシア側が自立して同様の活動を自前で行なっていけるか」という点を強く意識しながら実施されている。インドネシア側はもちろん、日本側も経済協力に対する認識を改めるべき時代を迎えていると思うのだ。

ちょうど同じ時期、マカッサルで複数の国際機関が教育関連の支援に関する2日間のセミナーを開催した。その席上、今後も南スラウェシ州にどんどん援助を提供する旨の発言があったとのことである。かたや相手のオーナーシップを高めて自立をめざし、かたや退出戦略を持たずに援助を供与し続ける…。このような状況下で、インドネシア側の自立を促す支援を遂行していくための様々な戦略と行動が求められてくることになるだろう。

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