2009年4月5日日曜日

催し物2本

我が家に出入りするイニンナワ・コミュニティの催し物が4月4・5日に立て続けにあった。

まず4日は、マカッサル市内のホテル・クラリオンで、ジャズ演奏+議会選挙に関するパネルトーク+モノローグ劇『奥さんも議員候補になる』(Nyonya Jadi Caleg)、という催し物があった。マカッサル市内は、至る所が議員候補者の選挙ポスターで埋め尽くされ、街の美観が徹底的に破壊されているが、その割には住民レベルでの盛り上がりはなく、私の周りでも、少なからぬ人々が棄権することを表明している。

まずは、ジャズの演奏。会場には、イニンナワ・コミュニティの仲間たちがパロディで作った選挙ポスターが飾られている。


次に、議会選挙に関するパネルトーク。パネルの一人は地元紙Tribun Timurの編集長で、新聞における選挙報道と候補者広告の取り扱いについて、「後者はビジネスと割り切って、会社トップの判断で載せており、編集部は口出しできない」とのこと。この新聞社は、地元有力グループでゴルカル党の一大スポンサーでもあるボソワ・グループが所有し、全国紙Kompasの傘下にある。


続いて、仲間の一人であるLuna Vidayaが二役を演じたモノローグ劇『奥さんも議員候補になる』(Nyonya Jadi Caleg)。県知事の奥さんが議員選挙への立候補を打診されて準備をするが、立看板やポスターをたくさん作ることや様々な行事に積極的に顔を出すなどし、あたふたしている様子。そんななか、知り合いの女性が別の選挙区から立候補することになったが、実はその女性が夫である県知事の第2夫人であることがわかって、ショックで亡くなってしまう。県知事の奥さんの選挙参謀をやる予定だった女性は、奥さんが亡くなった後、その第2夫人の選挙参謀を引き受ける。といったような筋書きである。昨今の選挙にあたふたするエリートたちを痛烈に風刺する内容である。


実際、立候補や選挙運動には多額の資金が必要で、落選するとそれが重い借金となってのしかかり、精神的におかしくなってしまう人が少なくないそうである。実際、東ジャワのある県では、落選した前県知事が、ボロボロの汚れた服で当所なく県庁所在地の町中を徘徊していた、といった話も聞く。精神病院がスタンバイするのだそうだ。

続いて、5日は、イニンナワ出版から出されたブギス族の伝統的な性に対する考え方を論じたAssikalaibinengという題の本に関して、筆者のMuhlis Hadrawi氏が話をし、フロアと質疑応答を行う催しであった。我が家近くのM'Tosというショッピングモールにある書店のGraha Media(有名書店のGramediaではない)前の特設会場で行われた。



性について、インドネシアでは、一般に議論をタブー視する傾向が強いが、実は、多くのインドネシア人がこの手の話が好き、という面があることは否定できない。その意味で、イスラムの影響が強いと警戒されることさえある(実際はそうでもないのだが・・・)マカッサルで、こうした性をめぐる民俗学的な議論が行われること自体が、とても興味深いことであるとともに、こうした問題への一般の人々の関心の高さがフロアとのやり取りの中から感じられた。この本については、前述の地元紙Tribun Timurが数回にわたって紹介記事を掲載していた。我が家に出入りしている若者たちの静かな挑戦の一つ、と思えた。

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