2010年4月3日土曜日

バウバウ(2):ソウルと相思相愛

実は、バウバウ市は、韓国の首都ソウル特別市と姉妹都市なのである。

ことの発端は、希少言語の問題である。バウバウ市やブトン県に居住する少数種族のチアチア族が文字を持たず、自言語の消滅の危機にあるのだが、この希少言語を表音文字のハングルを使って保存しようという試みが、韓国の研究者によって始まった。その研究者たちのなかに、ハングルを発明した世宗の遠い子孫の方が入っていたことから、話が進み、いつの間にか、ソウル特別市と相思相愛になってしまい、姉妹都市になった、というのがバウバウ市長の話である。

すでに、ソウルから若者たちの使節団が訪れて滞在したほか、バウバウ市長一行も最近ソウルを訪れ、熱烈歓迎されたという。

バウバウ市にKorea Center WONAMというのを建設する計画もある。ともかく、バウバウ市は今、韓国との相思相愛の関係を生かして、地域振興に弾みをつける戦略を採り始めている。

筆者も、様々な方面から日本で姉妹都市の候補を探してくれと言われたものだが、多くの場合、「日本の姉妹都市からどんな援助をもらえるか」しか考えていなかった。一方、日本側も、何のために姉妹都市?、という空気が年々強くなっているように感じた。

韓国政府は今、インドネシアでの韓国語や韓国文化の普及に一層力を入れている。マカッサルの国立ハサヌディン大学にも、韓国政府の肝いりで韓国語学科が開設されたと聞く。他方、日本語や日本文化の紹介にかかる予算は年々削減されている。コミックやJポップでインドネシアの若者がどんどん(勝手に)日本好きになっているので、ま、いいか、ということなのだろうか。これも、いわゆる自立発展性、なのだろうか? でも、少なくともマカッサルの若者たちの日本理解は益々ステレオ・タイプ化しているように感じる。

それにしても、市長が「相思相愛」といって胸を張れるのは何ともうらやましいし、そういう気持ちを持たせるような、韓国やソウルの関係者の誠実な態度が想像できて、スラウェシ・ファンとしてはうれしく感じる。

でも、我々だって、誠実にインドネシア側と付き合ってきているはずなのだが、果たして、本当に彼らにはそう映っているのだろうか。もしそう映っていないのなら、その原因は何なのだろうか。最近、そんなことがなぜか気になり出している。

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