一方のここスラウェシは、ざっと見る限り、日常生活に暗さを感じることはない。現地通貨ルピアは対ドル、対円で依然として弱含みだが、マカッサルの街じゅうに建設され、廃墟化を懸念していたルコ(住居兼店舗)はけっこう埋まり、我が家の近くにも銀行や旅行代理店の支店、小食堂などがどんどん開店している。南スラウェシ州政府は、今年の予想成長率を7.14%と発表した。
昨年並みの強気の数字である。マレーシアもシンガポールもマイナス成長とみられるのに、この強気のもとは何なのか。実は、食糧生産を中心とした農業が意外に好調で、これが10年前とは決定的な違いである。10年前は不作で米の輸入を余儀なくされていたのである。ともかく、スラウェシを含むインドネシア東部は、「スマトラやジャワほどには世界的な景気後退の影響を受けない」というのが当地での一般的な見方である。
そんななか、暗い日本からこちらへ移って、明るく楽しい老後を過ごしてはどうかという提案がいくつか聞かれるようになった。ある島では、日本人向けの設備が完備した病院も誘致して、安心して老後が過ごせる居住地を作ってはどうかという夢が語られている。気候が温暖で、食べ物も豊富で、ゆったりとした生活スタイルのこちらで、のんびりと過ごしてはどうか、という提案で、ネックは日本語で暮らせるかどうか、である。おそらく、日本に派遣されたインドネシア人看護師らの帰国後の活躍の場とみなされている可能性もある。
この夢のような話は実現へ向かうのだろうか。世界中で最も日本を好きな人口比の高い国インドネシアで幸せな老後を送るのもいいのではないかと思う反面、そのインドネシアもまた、20~30年後にはおそらく高齢化の問題に直面していくのだろう、という予感がある。
1 件のコメント:
私シンケンにそれ考えてるんですけど、永住とか年単位の長期のビザってどうすれば取れるのでしょうか。
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