それは、マングローブ林産物の活用である。スラバヤ市のウォノレジョ・ルンクット・マングローブ農民グループは、何らかのきっかけで、マングローブ林に落ちている様々な実や葉などを使って何かできないか考えたのだという。そして、それらの、普通なら放置されたままの実や葉をこすったところ、色素が出てきて、しかもそれが簡単に落ちないことを発見、バティックの染色に応用できないかと試してみたら、マングローブ林に落ちているもので様々な色が出せることを知った。そして、生み出したのが、下の写真にある「マングローブ・バティック」である。
この自然の恵みを生かしたマングローブ・バティックは、環境にやさしいバティックとして売りたい様子。ただし、バティックの模様や線描自体はまだ素朴で稚拙だが、今後、環境問題に関心を持つ有名デザイナーなどとコラボできる可能性はありそうだ。
このグループは、マングローブ林のあちこちに落ちている素材をバティックの染色に生かすだけでなく、食品や飲料にも加工している。下の写真のように、マングローブの実のシロップ、ジャムなどが展示即売されていた。しっかりと健康にもいいことをアピールしているが、もう少し具体的に、どのような成分が含まれていて、それがどのように健康にいいかを説明できるとなおよいと感じた。これらのほか、マングローブの実を原料とする液体せっけんも生産している。
このグループの代表者はLulut Sri Yulianiさんで、Batik SeRu(Seni Batik Warna Alami Mangrove Rungkut)という名前で活動している。
マングローブ林に放置されている実や葉が環境にやさしい製品になる、とするなら、マングローブ植林を行う動機がさらに増す。しかも、マングローブの木を切って何かを生産するのではなく、落ちているものを利用するので、農民グループの所得向上と環境保護が両立することになるだろう。
こんなふうに、マングローブ林の活用を考えて動いているところがほかにもきっとあるのだろう。スラウェシのマングローブ林からも、これに似た動きが出てくると面白い。
ついでに、もうひとつ、おまけ。
同じ展覧会の別のブースで、小ぶりのヤシがらを加工して、いろんな色でデザインし、小物入れや亀の形の灰皿を作っている人に出会った。材料はすべてヤシである。
この小物入れや亀の形の灰皿は、この後、ハワイに送られ、ハワイ土産となる。「ハワイと言えばヤシのイメージ」だそうで、「ハワイを旅行したインドネシア人がよく買ってくるよ」と彼は苦笑いしていた。
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