2010年5月13日木曜日

タイムスリップな空間

5月11日、冷たい雨が降るなか、久々に母校の大学を訪ねた。キャンパスは、前期課程が本キャンパスに統合され、新しい建物がたくさん建てられていて、どこに何があるのか、戸惑ったが、図書館と講堂は昔のまま、趣きと威厳を保っていた。

時間があったので、ちょっと街中を歩いてみた。昔、学生時代によく通った店の多くがすでになくなっていた。邪宗門、ガラス玉遊戯、アーリータイムズ、かつれつ亭、シャンブレット、三好屋、丸信・・・。ちょっと前にマスターが亡くなった邪宗門の前には、まだ花束が置かれていた。思えば、味のある喫茶店や個性的なレストランが消え、その後はアパートや駐車場になり、日本中のどこにでもあるフランチャイズの飲食店が幅を利かせるようになってしまった。私の愛したこの街も、個性をなくしていた。

でも、ロージナ、ル・ヴァン・ド・ベール、いたりあ小僧、三春、テキサス、ナジャはまだ健在だった。ロージナはマスターが数年前に亡くなったが、ご子息が後を継いでいる。学生時代のように、ロージナの地下室が使われているのかどうかは定かではないが・・・。

ナジャに立ち寄った。店内には客がなく、オーナーのおばさんが一人でいた。おばさん? ナジャには素敵な雰囲気を醸し出すお姉さんがいたはず。そうか。あれから25年以上が経ったのだから、あのときの素敵なお姉さんがこのおばさんなのだ。


たしかに、今となっては、やや古めかしい感じの内装かもしれない。でも、心地よいジャズ・ナンバーを聴きながら、ナジャ特製の大盛りカップ入りカフェ・オレ(今回はリンゴの砂糖煮もついた)を味わっていると、あっという間に25年前にタイムスリップするかのようだった。


元「お姉さん」の話では、大学院生などがまだ時々顔を出すが、学部生はあまり来ない様子。懐かしいといってやってくる、私のような輩もいるそうだ。街を守ってきた先代の意志を継がず、二代目・三代目が家や土地を売ってしまうので、他と代わり映えのしない街になってしまった、と嘆いていた。

昔は有名だったナジャの占いも、今は、やっていないようだ。

今回、ナジャで過ごした小一時間の昼下がりが、とても贅沢なものに感じた。一杯たった600円の大盛りカフェオレではあったけれど・・・。

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