2009年5月27日水曜日

ここ数日、ブログ更新できずにいたが・・・

5月のブログはワカトビに関する記事ばかり、となった感がある。何となく、本当に何となく、ブログ更新をこのところ怠ってしまっていた。けっして、ものすごく忙しかったわけではない。毎日平凡に何も起こらずに過ぎたわけでもない。ただ、何となくブログ更新をする気にならなかっただけである。

まあ、このところのマカッサルの暑さも影響しているかもしれない。そよ風(angin mamiri)の吹く町、と言われるのに、この季節には、風が凪いでしまう時間がある。でも、今日は、雨季を思わせるような、激しい雷雨が、短時間ではあったが、降った。

相変わらず、マカッサルには様々な知り合いが訪ねてくる。そして、嬉しいことに、マカッサルで元気になって、楽しんでマカッサルから帰って行ってくださる。来月も、様々な楽しい方々がマカッサルを訪れる予定で、楽しみにしている。彼らと「遊んでもらう」私も、さらに元気になる感じがする。

そういえば、マカッサルにも「食べ歩き」ブームが押し寄せつつあるようだ。Kuliner Makassarという小さな雑誌が創刊され、第2号はCoto Makassarの特集である。けっこう、知っている店が多いのだが、知らない店もある。でも、私だったら、こんな編集はしないな、と思う。Coto Makassarをもっと多角的に、たとえばCoto Makassarにまつわる様々な人々の思い出話とかエピソードをいろいろ集めて、単なるお店紹介ではない、あったかーい特集に仕立て上げるのだけれど。

トイレでドボンした携帯の代わりに、思い切ってBBBを購入した。これは使える。

2009年5月18日月曜日

カレドゥパ島でカソワミを食べる

ワカトビ県滞在中に、カレドゥパ島へ1泊2日で出かけた。ワカトビ県のワンギワンギ島にある県都ワンチからは高速船で約1時間半。ダイビングで名高いホガ島は、カレドゥパ島のすぐ東にある。

カレドゥパ島の手前、海上集落に立ち寄る。ここは、バジャウ族の人々の暮らす集落である。本当に、海の上に浮いているかのような集落である。家にはパラボラ・アンテナも見える。




その昔、1950年代後半、スラウェシ島南部一帯で、政府に反抗してイスラーム連邦国家化を目指すダルル・イスラーム運動が起こった際、この地域も大変な争乱となった。反政府軍のイスラーム勢力は、カレドゥパ島にも攻め入ってきたが、その先兵として使われたのが、その海上で暮らすバジャウ族であった。バジャウ族を先頭にした反政府軍はカレドゥパ島に攻め入り、島民との間で殺戮が起きた。島民は対抗してバジャウ族を島外へ追い払った。しかし、バジャウ族も昔からカレドゥパ島近くの海域で暮らしてきたため、島の長老たちは慣習法に則り、ホルオ村のマンティゴラ地区にバジャウ族の居住地を定め、そこにバジャウ族を住まわせた。しかし、今でも、カレドゥパ島民のバジャウ族に対する感情はよくない。

カレドゥパ島は、決して大きな島ではない。しかし、中央部には、標高は決して高くはないが、山岳地帯の趣をもつ風景がある。この山岳部の頂上付近にパジャン村がある。この村には、古い要塞の跡があった。この村の尾根道からは、左右両方に海を見渡すことができる。


そしてこの村は、カレドゥパ織と呼ばれる伝統的な布を多くの村人が織っている村でもある。実はこのカレドゥパ織は、5年ほど前に消滅寸前であったのを、地元住民組織が中心となって、復活させたものである。今回は、残念ながらカレドゥパ織の現物を見ることはできなかったが、南スラウェシから入ってくるサロン・ブギス(サロンとは腰巻のこと)に比べると、織りが繊細で柔らかな手触りなのだとか。島内の伝統行事等でカレドゥパ織のサロンを着用することが増えているそうである。

さて、カレドゥパ島で食べたのは、カソワミと呼ばれるキャッサバ加工品である。実は、ワカトビ県には水田がなく、米を生産していない(米はすべて外からの移入)。住民の主食はキャッサバを加工したカソワミで、カレドゥパ島は県内で最も多くのキャッサバを生産している。カソワミには大きく3種類があるようだ。


上写真の左はカソワミ・オンロオンロ、右はカソワミ・キキリ、とカレドゥパ島では呼ばれる。ワカトビ県で一般的なカソワミはカソワミ・キキリで、カソワミ・オンロオンロはカレドゥパ島で主に食べられる。

カソワミを作るには、まず、キャッサバを切って、よく洗う。カソワミ・キキリはその後、キャッサバを砕いて圧力をかけて水分を飛ばす。さらに、特別な道具を使ってそれを細かくし、ココナッツの葉で編んだものでくるんで蒸す。一方、カソワミ・オンロオンロは、キャッサバを洗った後、キャッサバを砕いたものを型に入れ、一晩海水に浸す。そして2日間、天日で乾かす。乾かしたものを薄く削って、真水に浸し、圧力をかけて蒸す。たしかに、カソワミ・オンロオンロはほのかに塩味がして、それだけでもおいしいものだった。カレドゥパ島の人々は、どちらかというと、カソワミ・オンロオンロのほうを好むそうである。


この2つのカソワミ以外に、カソワミ・ビルというのがある。作り方はほとんど同じだが、天日乾燥させるときに色が黒くなるまで乾燥させるところが異なる。ビルはインドネシア語では青色だが、現地語では黒色を指す。南スラウェシのトラジャやカジャンでは、黒は基本となる色(カジャンでは「すべての色は黒から始まった」と信じられ、身に着ける衣服は黒一色である)であり、カレドゥパでの色をめぐる言葉の違いにも何か意味があるのかもしれない。

ワカトビは、米ではなく、イモの世界なのであった。そして、1997~1998年に米の不作でインドネシアが全国的に食糧危機と大騒ぎしていた頃も、キャッサバやイモを主食とするここでは、食糧難とは無縁の生活が営まれていた。そんなワカトビでも、農業省のプロジェクトを受けて水田を作りたい、と考える役人もいるのである。

もう一つ、カレドゥパ島にはカノと呼ばれるイモがある。ある人によれば、これはカレドゥパ島の固有種で、6種類あるという。このカノが栄養的にどのようなイモなのかは、素人の私にはよくわからない。でも、このカノでつくったチップスは、やめられない止まらない、クセのない飽きないおいしさだった。案内してくれた地元住民組織の代表が言った。「おいしいだろ? でも、お土産にはあげないよ。食べたければ、またカレドゥパに来いよ」。地に足のついた地域づくりが期待できそうな弁であった。



2009年5月10日日曜日

世界有数のサンゴ礁域・ワカトビへの道

ワンギワンギ島北西端を海上より臨む

今回行ってきたワカトビは、東南スラウェシ州東南端にある群島からなる、人口10万人弱の小さな県である。ワカトビの名の由来は、県内の4つの大きな島の頭文字、すなわちワンギワンギ島の「ワ」、カレドゥパ島の「カ」、トミア島の「ト」、ビノンコ島の「ビ」、をつなげた名前である。この群島域は、鍛冶屋列島(Kepulauan Tukang Besi)と以前から呼ばれていて、今回は訪問しなかったが、ビノンコ島には実際、刃物を生産する鍛冶屋が存在するとのことである。

このワカトビは今、世界で最も美しくたくさんの種類のサンゴ礁を持つ地域としても知られ、欧米人などを中心に、まださほど数は多くないが、年間を通してダイビングを楽しむ観光客が訪れている。英国・ロンドンのOperation Wallaceaによると、世界で確認された850種のサンゴ礁のうち、実にその9割に当たる750種がワカトビ海域で確認されている。ちなみに中東の紅海では300種、有名なカリブ海でも50種にすぎないそうで、このサンゴ礁の種類の多さは特筆ものである。また、4島の沖合の環礁の長さは世界最長なのだとか。もちろん、世界で最も珊瑚礁が密集しているインドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、ソロモン諸島、東ティモールにまたがるサンゴ礁三角地帯(Coral Triangle)の一角を占めている。今週の5月14日、マナドで開催されている世界海洋会議(World Ocean Conference: WOC)の会場で、このサンゴ礁三角地帯の生態系保全を謳ったサンゴ礁三角地帯イニシアティブ(Coral Triangle Initiative: CTI)が当該6カ国の首脳により調印される。

このワカトビへのアクセスだが、5月15日より、東南スラウェシ州の州都クンダリとワカトビ県の県都ワンチとの間に毎週計10便の飛行機(Susi Air)が飛ぶことになった。基本的に、ジャカルタからマカッサルを経由してクンダリへ15:25に着くガルーダ航空GA604便に接続の予定である。もちろん、戻りも、クンダリ発マカッサル経由ジャカルタ行きの折り返しガルーダ航空GA605便に接続するように時刻が設定される。それ以外に、1日に2便往復する日が3日ある、ということで、柔軟なフライトスケジュールになるようだ。

ワンギワンギ島の新空港の1400m滑走路

航空機以外だと、クンダリから週に5便(日・水は休航)の定期船がある。クンダリを午前10時に発ち、途中、北ブトン県の県都エレケに寄ってから、ワカトビ県の県都ワンチに夜8時頃到着する。戻りも同様で、ワンチを午前10時に出発する。料金は13万ルピアで、船室を使う場合には18万ルピアである。

ほかにも、ブトン島最大の町のバウバウからは毎晩夜行の船便があり、また、ブトン島の中部のラサリムという小さな村からも、早朝発のワンチ行き船便(所要約3時間)が出ている。

今回、筆者は、たまたまワカトビ県知事のモーターボートで移動したので、クンダリ=ワンチ間が約4時間半で済み、快適かつ楽だった。こんな楽をしていると、インドネシア中をリュック一つで旅している親友にまた叱られてしまうのだ。

ワンチについてからの他の島への移動は、定期便だとほぼすべての島への行く船が午前10時にワンチを出る。ただし、ワンチには3つの埠頭(ワンチ、マンダティ、モロ)があり、クンダリ行きはワンチ埠頭から、カレドゥパ島行きはモロ埠頭から出る。他の島からの戻りはいずれも、早朝にワンチに到着する。今回、カレドゥパ島からワンチに戻る際、出発は午前5時半であった。

この海域は、季節によって海がかなり荒れるという。幸運なことに、今回は全般的に穏やかな海で、快適な船旅を楽しむことができた。


2009年5月3日日曜日

ワカトビへ出張中

5月2~8日は東南スラウェシ州ワカトビ県へ出張中。ブログ更新は、マカッサルへ戻った後に行う予定。日本の皆さん、よい黄金週間を。