2010年6月18日金曜日

ジャカルタのとある麺屋にて

インドネシアと関わり始めた頃からずっと通っているジャカルタのとある麺屋に行ってみた。縮れ麺の鳥そば(Mi Ayam)が食べたくなったからだ。

この店を知ってからもう25年になる。最初の頃、Nasi Capcaiにナマコが入っているので有名だった。1990年代後半の通貨危機の頃から、価格の高騰したナマコをcapcaiに入れることを断念し、普通のcapcaiになってしまった。

今回、店を訪れると、定番のワンタン麺(Mi Ayam Pangsit)を頼んだ。が、ワンタンがないということで、やむを得ず、肉団子麺(Mi Ayam Bakso)にした。フロアの半分は明かりが消されており、ますます寂れた感じがする。

寂しい気分で麺をすすっていると、次から次へと家族連れが店に入ってきた。でも、「それなりに繁盛しているんだ!」という雰囲気にはならない。何となく、一般の客のようではないからだ。よく見ていると、私も顔なじみの番台にいるおじいさんと次々に握手をしている。

どうやら、家族連れはおじいさんの娘や孫たちのようである。聞くと、その日はおじいさんの70歳の誕生日だったのだ。孫たちが口々に自分の食べたい料理の名前を叫んでいる。

店としての盛りを過ぎ、店を閉じる日を待っているような店の、つかの間の温かな賑わいのように見えた。でも、せめて、おじいさんの生きている間だけでも、したたかに店が残っていてほしいと思った。

ジャカルタのあちこちで、かつてあんなに賑わっていた店が、今では閑古鳥が鳴いている、という光景を見ている。寂しいと思うと同時に、私がまだ数十年前の風景を自分のジャカルタのイメージとして引きずっているだけなのだということも思い知った。

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