2008年5月24日土曜日

失われ行くもの in マカッサル(1)

数々の過去の歴史的建造物や貴重な文化遺産を破壊しながら、日々様相を変えてゆく町、マカッサル。近年は、その勢いがますます加速しているかのようだ。

数年前から壊されるという話があったブント・コレクション。ドイツ人のブントさんという方が長年にわたって集めてきたランの花や大きな貝殻のコレクションが有名で、西欧人観光客が必ず訪れる場所だった。1996-2001年に住んでいた私の家のすぐそばにあり、時々中を見せてもらったものだった。


でも、もう跡形もない。コレクションはどこへ行ってしまったのだろうか。跡地は、ルコ(住居兼店舗)になるという。ルコだらけのマカッサルなのに。マカッサルにしかなかったものがまたひとつ、消えた。

高級住宅地パナクカンにあったカントリークラブ(通称PMCC)。以前、小さかった娘がプールで遊んだ後、トラジャ・カフェで海老ワンタンを食べるのがお決まりのパターンだった。会員制のスポーツクラブがあり、50mプールは泳ぎがいがあった。トラジャ・カフェは、手頃な接待場所として、何人ものお客さんをお連れした。海老ワンタン以外に、塩魚チャーハンや海南鶏飯もおいしかった。2001年に私が任期を終えて帰国するとき、感謝・お別れの会を開いたのもPMCCだった。

このPMCCももうない。取り壊されて、ホテルになるという。プールで泳ごうと思っていたのに、それも無理になってしまった。

ブント・コレクションの近くにあった、1996-2001年に住んでいた平屋建ての我が家も、私の帰国後に人手に渡り、高い塀をめぐらせた2階建ての大きな家が建った。毎年たわわに実ったシマナラギ種のマンゴーの木は、2本とも伐採された。

マカッサルとともに記憶される特別の場所が、どこにでもあるようなルコやありふれた建物に変わっていく。失われる前に記憶に残していく作業を進めなければなるまい。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ブント・コレクション惜しいですね。マカサルは観光客誘致には熱心だが、一方で観光資源を惜しげもなく捨てている。ロッテルダム城も周囲を無粋な建物に囲まれて周囲を見ることも出来ない。昔は周囲にお堀もあった。せめて、周囲の政府関係の建物を移転させて、往時の城を復元させてほしい。何年か前に、そのための調査の予算が付いた筈だが横流ししてしまったのか??

観光誘致はPRのみに金を掛けるのではなく、もっと観光資源の維持・管理、開発に注力すべきであると思う。

トラジャ・カフェも残念、お気に入りの場所だったが、客が少なく、経営上の問題はあったと思う。ホテルを併設するなどして、経営を安定化して、再度オープンすることを願っています。