本家・大分のそれを思い出させるような一村一品マップも展示されていた。
予想に反して、セミナー会場は500人程度を収容する会議場で、昨年のインドネシア・バリ島での会場に比べると半分ぐらいの大きさだった。会議場の手前に各国の一村一品ブースが置かれていた。
翌15日はスタディ・ツアーで、筆者は、ラタン・竹細工を作っているフービン(Phu Vinh)村を見学した。ここは、全国に多数の「工芸村」を展開しているベトナム政府が、一村一品事業のモデルとして力を入れているところらしく、日本、EU、アメリカなどへ製品を輸出しているとのことであった。
なかには、キューバのカストロ首相を描いたラタンの編み細工が飾られていた。この工房ではこれをとても誇りにしているようだった。
カストロ首相以外に、もちろん、ベトナム建国の父・故ホーチミン主席を描いたラタンの編み細工もあった。その手前にあるのは、この工房の製品の一部。
若い女性労働者がラタン編み細工を作っているが、その手先の動きの素早いこと。丸みを作るために、型を当てて作業していた。
ここまでは、ベトナム政府から一村一品事業としての支援を受けている工房の話。その隣には、もっと多くの人が働く別の工房があり、そこは、政府の支援を受けていないということだった。模範工房ではないということなのか、雰囲気はよりリラックスした感じだった。
これらの工房から少し離れたところにある、竹細工工場も見学した。ショールームには様々な製品が置かれ、その品質は高いようにみえた。
これは竹製の壺。竹とは思えない出来上がりである。
これは、日本向けに輸出されるラタン製のトレイ。何を運ぶと楽しいだろうか。
屋外では、竹製の小さい椅子を作っていた。誰が腰かけるんだろうか、小さい子どもかな? と思っていたら、これに花を差すのだそうだ。いろんなことを考え出す人がいるものである。
もの作りという点からも、集積やクラスターという観点からも、ベトナム各地に展開する工芸村の成り立ちとその歴史には興味を引かれる。とはいうものの、伝統工芸品を発展させていくというよりは、バイヤー側の注文を受け止めながら作るという面のほうが強いように思われた。
それでも、バイヤーとのやり取りのなかから、デザインや手法を磨いて自分のものにしていく能力を持っているか否か、それを自分で常に高めていこうと努めるか否か、という点が重要になってくるのだろう。そのプロセスを生産側が持続的かつ主体的に進めていけるかどうかについては、政府やバイヤーを含めた外部者がどのような働きかけをしていくか、これが重要なカギを握ることになるだろう。
その点で、ハノイ空港の土産物屋に並んでいた工芸品からは、オリジナリティの面でも品質の面でも、ベトナムらしいキラリと光る何かが、自分にはあまり見出せなかった。ベトナム工芸品のいい評判を聞いていただけに、これはちょっと予想外だった。
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