2008年6月5日木曜日

あるNGO連合代表の訪問

先週はパル、マナドと1週間出かけていて、今週1週間はマカッサルである。来週はまたマムジュ、クンダリへと出かけ、その次の週の前半にゴロンタロ行きを予定している。1週間マカッサル、1週間よそ、というペースで動くことになりそうだ。

今週初め、オフィスで仕事をしていると、「インドネシア市民社会組織連携NGO統一」(SOMASI)という名の役員をしているSという人物がいきなり訪ねてきた。どんな組織なのか聞くと、南スラウェシのNGOの連合組織だが、老舗であるFIK-Ornopには加入できないNGOの集まり、だという。加入できないのは、設立後2年未満だからということだが、相互の情報交換が目的なら、設立年数は関係ないはず、と批判する。

実は、今年初めに、なんと中央政府の国家官房主催で全国NGOセミナーというものが開催され、このSOMASIが南スラウェシ代表で出席したのだそうだ。へえーっと思ってしまう。設立して2年も経たないのに代表になってしまうとはねえ。それで、「SOMASIは何を目指しているのか」と聞くと、政府の事業を助けること、住民と政府の橋渡し役になること、との答え。具体的にやってきたことは、地方首長選挙のときの投票所での監視などのボランティアを動員すること。これからやりたいのは、デサとクルラハンの開発、だそうだ。このデサもクルラハンも基本的には行政用語で、前者は行政村(主に村落部)、後者は行政区(主に都市部)を指す言葉だ。「どうやるの?」と聞くと、デサやクルラハンにアンケートを配って開発ポテンシャリティを探るのだとか。それって、普通は村落開発局という役所が統計をとるためにする仕事じゃないの? 「住民から観たら、なんで同じような調査を政府とNGOが別々にやるのか、と混乱してしまわないだろうか」と問いかけると、そんなこと思いもしなかった、というような反応を返された。おいおい、いったいいつの時代の感覚なんだよー、と叫びたい気持ちを抑えながら、話を聞く。

このSの名刺には、自分の顔写真が選挙ポスターのようにデカデカと載っている。そうか、来年は総選挙、大統領選挙だった・・・、と気がついた。得票のために住民を丸め込むならどんな手段でも使う、ということなんだな。とくに政権側が。そうでなければ、国家官房が何でまたひよっこのNGOを代表に仕立ててNGOセミナーを開いたりするものか。本格的な官製NGOの時代を迎えるのかどうかは分からないが、まじめに活動している我が家の仲間のようなNGOは、ますます居場所が狭められていくような、そんな予感を抱いてしまった。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

お国柄の違い、政治経済の事情の違い、国民性の違い、etc. スラウェシの人達とどのように付き合えばいいのか、行きずりともいえるわずかな付き合いだけで早くも途方に暮れます。同じ環境に生き言葉が通じるということがあまりにも空気のようになっていて、それがどれだけ多くのコミュニケーションをもたらし得るかに今まで気づいていませんでした。