2010年8月1日日曜日

ブンクルのバティック


ブンクルに行った際、面白いバティックに出会った。ブンクルのバティックはバティック・ブスレック(Batik Besurek)と呼ばれ、その特徴は、生地のなかに、文様としての文字とラフレシアの花が入っていることである。隣州のジャンビのバティックとの類似性もあるかもしれない。


バティックの中に入っている文字は、アラビア文字もあるが、上の写真の直線的な文字は、カガナ文字と呼ばれる地元の文字で、山間部のルジャン・レボン(Rejang Lebong)県では、まだ小学校でこの文字の読み書きを教えているそうである。


ちょっと残念だったのは、これらの文字が単なるデザインとして入れられていることで、文字自体の持つ意味や読みとモチーフとの間につながりを持つ形で作られていないことだった。

ここでも、バティックは手書き、チャップ(型押し)、プリンティング(印刷)の3種類の方法で作られているが、このバティックを考案し、認知に努めている地元実業家は、ジョグジャカルタへ行ってバティックを学んできた。プリンティングはブンクルではまだ無理なので、ジョグジャカルタで行っているとのことである。


このバティック、ユドヨノ大統領がブンクルを訪問した際に、シャツに仕立て、そのシャツを大統領が着た様子が写真で飾られていた。私も、カガナ文字の入った生地でシャツを2枚仕立ててみた。

カガナ文字という、他にはないデザインが入ることで、ブンクルらしさが表現されることは重要だが、さらにもう一歩進めて、その文字に意味とストーリーが加わってほしいものだと思った。

地方独自のバティックを振興しようという動きが、近年、全国各地で見られるようになった。ユネスコからバティックが世界無形文化遺産に指定されたことが、こうした動きへの追い風になることだろう。

「猛暑日本」という報道を聞きながら、日本でもバティックが夏服として一般に認知されるようになれば、日本の空気はもっと明るく元気になるのではないか、と思ったりする。

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