トラジャ料理では、鶏肉、豚肉、鯉(ikan mas)、ウナギ(lendong)などをパマラッサンで煮込んだ黒い色の煮込み料理がおなじみである。このパマラッサン、実は東ジャワ料理で有名な黒い肉スープのラウォン(Rawon)などに使われるクルワックと同じものである。
パマラッサン(pamarrasan)は木の実である。下の写真のように、茶色っぽい大きめの実があちこちに実る。木自体はかなり大きい。私はいつも、レモの岩石墓地を見に行った際に、岩石墓地から水田を回る散歩道に生えているパマラッサンの木を眺める。
このパマラッサン、実の中は小石のようなものが包まれている。この小石のような固いものを割ると、中は真っ黒な物体がある。これを粉状にして、煮込み料理に使う(下写真の左上)。実の中の果肉(下写真の右上)も皮(下写真の右下)も、料理に使う。とくに、果肉は、パマラッサン料理には欠かせないものとされるが、果肉も入ったパマラッサン料理には、Restoran Mamboでしか今回は出会わなかった。
下写真は、Restoran Mamboで食べたパマラッサン料理。竹筒に入っているのは、豚肉とマヤナ(mayana)という葉を入れて蒸したもの。この竹筒で蒸す料理をピオン(pion)といい、Mamboでは鶏肉、豚肉、鯉、水牛肉で調理可能であるが、時間がかかるため、少なくとも2~3時間前に予約する必要がある。
ピオンの右にあるのが、豚肉のパマラッサン。もちろん、パマラッサンの果肉が入っている。果肉の入っているほうが、個人的には断然美味しい。
そして、上写真の右下の野菜は、パキス(pakis)と呼ばれるシダの一種とパパイヤの花の炒めものである。この組み合わせは、マナドなどでもおなじみで、パパイヤの花(下写真のカボチャの脇にあるもの)の醸し出すちょっとした苦味がなんとも言えず美味である。
それにしても、トラジャではなぜ黒い色の料理が多いのだろうか。以前、南スラウェシ州ブルクンバ県のカジャンの伝統区域を訪ねたとき、「世界の最初の色は黒で、それから様々な色ができていった」という話を聞いた。カジャンの伝統区域に住む人々は、黒以外の色の服を着てはいけないし、よそ者がその区域に入るには黒装束にならなければならない。そういえば、トラジャの人々の伝統衣装も基調は黒である。そんなことが、パマラッサンにも関係しているように思えるのである。
そうそう、トラジャに行かれたら、テロン・ブランダ(telong Belanda)のジュースを是非味わってほしい。見た目がナス(telong)のようなので、オランダ・ナスという名がついたのかもしれない(下写真)。トラジャの特産品の一つである。
2 件のコメント:
パマラッサンはトラジャの2番目の代表料理だと教えられ(1番目はパピオン)味わいたかったのですが、私は肉嫌いで魚も1人前頼むと多すぎてしまうので、結局食べられませんでした。レストランで、ないと知りつつ「パマラッサンで味付けした野菜料理をください」と頼んだらやっぱり特別に作ってもらえたりはしませんでした。
買って帰ってくる、という方法を思いつかなかったのが残念です。これを使った料理は日持ちがするらしいですね。
ジュースにする赤い果物はタマレッラと教えられました。インドネシア語だったんでしょうか。酸っぱくて、飲む前に少しドキドキするジュースでした。
natsさま
おそらく、タマレッラはトラジャ語で、テロン・ブランダがインドネシア語だと思います。パマラッサンですが、肉料理に使うようで、野菜料理に使うという話は私も聞いたことがありません。かつてヨーロッパ人が探し回った香辛料とおなじような効能があるのでしょうかね。
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